当山の本堂には、御本尊として、お釈迦様がお悟りになった世界を日蓮聖人が目に映えるよう、図に顕した『大曼陀羅』が安置されております。
御題目を中心に遍く世界が円輪のように調和しているおすがたを顕したものです。
現在の本堂は昭和52年に現在の住職によって建て替えられました。
向かって右側には鬼子母神様を安置し、左側には位牌壇がございます。
御宝前には御本尊を中心に、久遠実成の釈迦牟尼仏・四菩薩・四天王を据え日蓮聖人が安置されております。
その左右には当山開山、法蓮阿闍梨日禮上人・当山開基、法頂妙林日貞法尼像がございます。
鬼子母神さまは『安産』『子育』の神様として崇められており、法華経を保ち、広めるものを擁護する神様といわれております。
インドではハーリティーと呼ばれ、音写して訶梨帝母(かりていも)とも言います
。
ハーリティーには千人の子供がおりましたが、他人の子を捕らえてきて食べてしまう事を繰り返していたため、お釈迦様は可愛がっていた末の子を隠してしまいます。
慌てたハーリティーは血眼になって我が子をさがしますが、見つからず、お釈迦様に救いを求めます。
お釈迦様は『お前に子供を食べられてしまった父母の気持ちがわかるか。』と戒められ、ハーリティーは今までの過ちを悔い改め、佛法に帰依し、十羅刹女(妙法蓮華経陀羅尼品第二十六に登場する10柱の女性の鬼神)とともに、法華経を保ち、広めるものを守護すると固く誓ったといわれております。
以降、法華経の行者の擁護、安産・子育の神様として祀られております。
大黒様といえば、お馴染みの『米俵の上に乗り、打出の小槌を持ってニコニコしている福の神』というお姿が有名で、皆様にとって身近な神様ではないでしょうか。
しかし、もともとは『破壊する力』『すべてのものを救う力』の両方をもったシバ神(大自在天)の化身で、マハーカーラ(大いなる暗黒)の名前が示す通り『死神』です。
大黒様に祈ると戦いに必ず勝利することができるとされ、闘いの神様としても広く信仰されました。
また、『破壊』と『再生』は植物の生命原理を連想させることから食物・穀物の神様としても信仰されていき、苦行をする仏教信者に植物の食べ物を与えてくれる神として、インドの寺院の厨房では柱に大黒様をお祀りするようになりました。
そのため、日本の寺院や家庭でも台所に大黒様をお祀りするようになり、お寺の奥様の事を『大黒様』と呼ぶようになりました。
日本に入ってきたとき、『大国主命』と音が似ていることから習合し、七福神にも数えられ、五穀豊穣、財福の神様として広く信仰されました。そのことから、満面の笑顔で米俵に乗り、頭巾をかぶり、宝の入った福袋を担ぎ、打ち出の小槌をもった今のお姿に段々と変わっていったのです。
日蓮聖人も『真間釈迦仏御供養逐状』に
『いつぞや大黒を供養して候ひし、其後より世間なげかずしておはするが、此度は大海のしほの満るがごとく、月の満るが如く、福きたり、命ながく後生は霊山とおぼしめせ』
と、『大黒天を信仰すれば、所願成就し、現世安穏、後生善処となりますよ』と、大黒様をお祀りすることを勧められております。